スイス金融最大手UBSは12日、経営危機に陥った同業クレディ・スイスの買収が完了したと発表した。クレディ・スイスは当面、UBSの子会社として存続するが、167年の歴史に事実上の幕が下りる。
UBSは今回の買収で、運用資産が5兆ドルに上る巨大金融グループとなる。特に富裕層向け資産運用部門が強化され、バランスシートが1兆6,000億ドルに達する。
クレディ・スイスは2021年に米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で巨額損失を出して業績が悪化した。その後に不祥事が相次いだこともあって信用不安が膨らみ、同行の株式や債権を売却する動きが加速。経営に行き詰まり、3月にUBSが約30億スイスフラン(約4,600億円)で救済買収することで合意していた。
スイス財務省はUBSがクレディ・スイスから引き継ぐ資産の価値が下がったり、買収に伴う訴訟などで将来損失が生じた場合、90億スイスフランの政府保証を付与する。
UBSにとっては、今後どのように両行の事業統合を進めるかが大きな課題となる。また、クレディ・スイスの投資銀行、国内事業部門を中心に人員を削減するのが必至で、数週間以内に削減計画が発表される見込みだ。