英通信大手ボーダフォンは14日、国内の携帯電話サービス事業を同業スリーと統合することで合意したと発表した。これによってBT傘下のEEを抜き、英最大手の携帯電話サービス会社が誕生する。ただ、大手同士の事業統合だけに、英競争当局が承認するかどうかが焦点となる。
統合で誕生する新会社の持ち株比率はボーダフォンが51%、スリーの親会社である香港の複合企業CKハチソンホールディングスが49%。統合完了から3年後に新会社の企業価値が165億ポンド(約2兆9,000億円)を超えた場合は、ボーダフォンがCKハチソンの持ち株を買い取る権利を持つ。
英携帯電話サービス市場でボーダフォンは3位、スリーは4位(顧客数ベース)。新会社は現在1位のEE、ヴァージン・メディアO2を抜き、首位に立つ。2024年末までの統合手続き完了を目指す。
両社は22年10月に同事業の統合に向けた協議を行っていると明らかにしていた。単独では難しい第5世代(5G)サービスのインフラ整備などを進め、競争力を高める狙いがある。
しかし、英国内の携帯電話サービス大手が4社から3社に減ることで健全な競争が損なわれ、サービス料金の値上がりを招くといった懸念が浮上していた。両社は新会社が向こう10年間で110億ポンドを投じて5G通信網を整備する計画を発表。これによって顧客へのサービスが向上すると同時に、英政府が目指す5Gネットワーク整備にも貢献するとして、統合の利点を強調した。それでも、当局が慎重に統合の可否を審査するのが確実だ。