英競争・市場庁(CMA)は24日、欧米の大手銀行5行が英国債の取引に関する機密情報を共有し、競争法に違反した疑いがあるとする暫定的な調査結果を発表した。ドイツ銀行と米シティグループは事実関係を認めて調査に協力しているのに対し、英HSBC、米モルガン・スタンレー、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)は不正行為を否定している。
CMAはリーマン・ショック直後の2018年11月から調査を進めていた。CMAによると、5行の担当者は09年~13年にかけ、英国債に関連したアセットスワップの売買に関する機密情報を共有していた。米ブルームバーグのチャットルームで価格設定などについてやり取りしたとみられる。
ドイツ銀行はCMAに銀行間の不正な情報共有を自発的に報告したため、課徴金減免(リニエンシー)制度に基づいて罰金が免除される。シティグループも調査の過程でCMAと和解しており、罰金が減額される見通し。
一方、モルガン・スタンレーなど3行は不正を否定したうえで、CMAの調査には協力する姿勢を見せている。CMAは競争法違反を裏付ける十分な証拠がそろっているか現時点では判断を下していないとして、引き続き調査を進める方針を示している。