保険会社「ネットゼロ・アライアンス」、アクサなど7社が相次ぎ離脱

欧州の保険会社を中心に、気候変動対策を推進する業界の国際的イニシアチブ「ネットゼロ・インシュアランス・アライアンス(NZIA)」を離脱する動きが広がっている。22日に再保険大手のスイス・リーがNZIAからの離脱を発表したのに続き、26日までに独アリアンツ、仏アクサ、英ロイズなど6社が相次いで離脱を表明。先行する3社と合わせて離脱組は10社となった。

NZIAは投融資先企業への働きかけなどを通じて脱炭素社会の実現を目指す金融機関の有志連合「グラスゴー金融同盟(GFANZ)」の構成団体として、2021年7月に発足した。アクサを議長として8社でスタートしたNZIAは、最大時で31社までメンバーを増やしたが、3月末に独ミュンヘン再保険、4月にスイスのチューリッヒ保険グループと独ハノーバー再保険が相次いで離脱。今回アリアンツなど4社のほか、仏スコール、オーストラリアQBE、SOMPOホールディングスが離脱組に加わり、現メンバーは27日時点で英アビバ、伊ゼネラリ、東京海上ホールディングスなど21社となった。

NZIAは2050年までに保険引き受けポートフォリオの温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。こうした脱炭素の取り組みに対し、米国では共和党議員などが反ESG(環境・社会・企業統治)の圧力を強めているほか、業界で足並みをそろえる行為が反トラスト法に抵触するとの見方が出ている。相次ぐ離脱の背景にはこうした要因があるとみられ、今後さらに追随する動きが広がる可能性もある。

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