自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は19日、ロシア事業を現地ディーラー、アビロンに売却する手続きが完了したと発表した。VWはロシアのウクライナ侵攻を受けて露事業を停止していた。今回の取引により同国事業から完全撤退する。
現地子会社フォルクスワーゲン・グループ・ルスとその傘下企業(フォルクスワーゲン・コンポーネンツ・アンド・サービシズ、スカニア・リーシング、スカニア・ファイナンス、スカニア・インシュアランス)をアビロンの傘下企業アートファイナンスに100%譲渡した。インターファクス通信によると、取引額は1億2,500万ユーロ。
売却した資産には、モスクワの南西約150キロのカルーガにある完成車工場が含まれる。ロシアのデニス・マントゥロフ副首相兼産業商務相によると、同工場の今後の運営を東南アジアの企業に委ねる方向ですでに交渉が行われている。ロシア事業を現地企業に売却した自動車メーカーのなかには、将来的に買い戻す権利を確保するケースもあるが、VWはそうしたオプション権なしに今回の取引を行ったもようだ。
ロシアのニジニ・ノヴゴロドで現地メーカーGAZと共同運営していた合弁工場からは昨年中に撤退を完了した。