フィンランドのタイヤ大手ノキアンタイヤは11日、ルーマニア北西部のオラデアで乗用車タイヤ工場の起工式を行った。欧州で新たな生産能力を整備する計画の一環。2024年後半に稼働を開始し、翌年から量産体制に入る。雇用規模は約500人、総投資額は約6億5,000万ユーロを見込む。
新工場はハンガリーとの国境に近く、他地域へのアクセスに優れる。年産能力は600万本で、将来の拡大を視野に入れる。倉庫・物流センターも含めた建物面積は10万平方メートル。リム径の大きい乗用車・SUV用タイヤを生産し、主に中欧市場に出荷する。
立地決定についてノキアンタイヤは、◇技能のある人材の存在◇物流面からみた地の利◇安定した事業環境――などを考慮し、40カ所を超える候補地のなかからオラデアを選定したと説明した。
ノキアンタイヤは昨年6月、乗用車タイヤ生産の約8割を占めていたロシアからの撤退を決めた。ルーマニア工場の設置は失われた生産能力を補うもので、ほかにもフィンランドと米国の既存工場強化が計画されている。同社は27年までに世界全体で1,500万本の生産能力を構築する目標を掲げる。