欧州委員会は4月28日、ポーランドなど東欧5カ国との間で、ウクライナ産農産物の輸入禁止措置を解除することで基本合意したと明らかにした。ただし、小麦など4品目についてはウクライナからの輸入を一時的に制限する緊急措置を導入する。
欧州委のドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)が同日、ツイッターにポーランド、ハンガリー、スロバキア、ブルガリアが「一方的な措置を取り下げる」と投稿した。4カ国は安価なウクライナ産農産物が国内に流入するのを阻止するため、4月中旬から独自に輸入を禁止していた。今回、ルーマニアを加えた5カ国が禁輸解除に合意したことで、東欧経由の輸出ルートが確保されることになる。
ただし、小麦、トウモロコシ、菜種、ヒマワリの種の4品目は一時的に緊急輸入制限の対象とし、他の品目についても同様の措置を検討するという。また、ウクライナ産農産物の流入で深刻な打撃を受けている5カ国の農家への支援策として、EUが1億ユーロ(約151億円)の補償を支払うことでも合意した。
EUは2022年6月、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナへの支援策として、同国産農産物の関税を免除した。しかし、本来は黒海経由でアフリカや中東などに輸出されるはずの農産物がポーランドなど周辺国に流入。そこから第三国への輸送が滞り、東欧諸国で農産物価格が下落し、農家が深刻な打撃を受けている。このためポーランドとハンガリーは4月15日に、スロバキアとブルガリアも19日までに、国内農家の保護を目的として、ウクライナからの農産物の輸入を6月30日まで禁止すると発表。同時に4カ国にルーマニアを加えた東欧5カ国は欧州委に対し、早急に包括的な対応策を検討するよう求めていた。
欧州委はこれを受けて19日、ポーランドなど4カ国に対し、単一市場の原則に反するとして禁輸措置の撤回を求める一方、農家への支援策を打ち出すとともに、小麦など4品目の輸入制限を認める方針を示していた。