ルノー「マスター」をベースにした燃料電池を搭載した小型商用車。仏自動車大手のルノー・グループと燃料電池システムや水素関連サービスを事業とする米プラグ・パワーがフランスに設立した合弁会社HYVIAは5月24日、スペインの3都市で「Renault Master Van H2‐TECH」の試乗イベントを開催すると発表した。具体的には、バルセロナ(5月30日)、サラゴサ(5月31日)、マドリード(6月1日)の3都市で実施する。
「Renault Master Van H2‐TECH」は、プラグが供給する30kWの燃料電池(製品名「ProGen」)のほか、33kWhの車載充電池、水素タンク4本(容量6.4kg:1.6kg×4)を搭載する。水素燃料の充填時間は5分、航続距離400キロメートル超となっている。
「Renault Master Van H2‐TECH」は、フランス製の商用バン。車両生産はバチイイ(Batilly)にあるルノー工場で、プラグの燃料電池の生産・試験はHYVIAのフラン(Flins)工場で、燃料電池の組み込みなど最終組み立てはパリ近郊のグレ=ザルマンヴィリエール(Gretz-Armainvilliers)で行われる。
■ HYVIA、オランダの見本市「World Hydrogen 2023」に出展
HYVIAは、5月9~11日にオランダのロッテルダムで開催された見本市・会議「World Hydrogen 2023」にも「Renault Master Van H2‐TECH」を出展し、顧客が試乗できる機会を提供した。
HYVIAは5月5日、当該見本市への出展に合わせて、オランダでHYVIAの燃料電池車の保守・修理サービスなどを提供するディーラー4社を発表した。
また、オランダでの最初の顧客として、廃棄物の収集・リサイクルやガソリンスタンド運営などを事業とする同国のGP Grootから受注を獲得したことも明らかにした。
HYVIAはさらに、水素燃料車両の購入や水素充填ステーションの整備をサポートする金融サービス「HYVIA Financial Services」を欧州で順次開始していく計画も明らかにしている。