2016年にスウェーデンで発足した化石燃料を使用しない製鉄方法の実用化に取り組むイニシアチブ。石炭やコークスを使用する高炉の製鉄方法は多くの二酸化炭素(CO2)を排出する。これに対し、当該プロジェクトでは、再生可能エネルギー由来の水素を使用して鉄鉱石をガス還元し、製鋼の原料となる海綿鉄を得る。この製法では、二酸化炭素を排出せず、副産物は水だけとなる。
プロジェクトには、スウェーデン鉄鋼大手のSSAB、鉄鉱石採掘のLKAB、エネルギー大手のバッテンフォールが参加する。また、スウェーデン・エネルギー庁が当該プロジェクトを資金支援している。
スウェーデン北部のルーレオーではこのほど、水素貯蔵のパイロットプラントが操業を開始した。この水素貯蔵施設は、2021年5月に建設を開始。地下30メートルにあり、貯蔵容量は100立法メートルとなっている。風力発電など再生可能エネルギーの余剰電力を水素に変換して貯蔵し、海綿鉄の生産に使用する。パイロットプラントの実証試験期間は2024年までの2年間となっている。
将来は、容量10万~12万立法メートルの水素貯蔵施設を建設が必要になる見通し。100GWhの電力を水素に変換して貯蔵する計算で、これにより海綿鉄工場を3~5日稼働することができると見込んでいる。
4年後には、スウェーデン北部イェリバーレの実証試験プラントで海綿鉄を工業規模で生産する計画。