EUが英国に法的手続き開始、人の自由な移動の制限めぐり

欧州委員会は14日、英国が欧州連合(EU)域内での人の自由な移動を保障するEUのルールに抵触しているとして、法的手続きに着手したことを明らかにした。1月にEUを離脱した英国は、離脱後の急激な変化を回避するため設けられた「移行期間」中はEU法に従わなければならず、人の移動に関するルールも適用されるが、これに違反していると認定。欧州司法裁判所への提訴も視野に是正を求めていく。

欧州委は英政府が在英EU市民の家族の入国などを不当に制限していると指摘。英国に4カ月以内に是正するよう求めている。これに従わなければ再度警告し、それでも応じない場合は欧州司法裁判所に提訴する。

移行期間は2020年末が期限。同期間中はEUが英国のEU法違反をめぐる法的手続きが可能だ。期限が過ぎた後も4年間は係争中の案件の処理を進めることができる。

英国はEUと締結した離脱協定で、在英EU市民の権利を離脱後も保障することを約束している。欧州委は今回の案件が同権利の保障にも関連するため、違反を軽視できないとして法的手続きに踏み切った。英政府の報道官は「通知を受け取った。(内容を)検討する」と述べるにとどまっている。

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