新型コロナウイルスに感染して治療、静養を続けていた英国のジョンソン首相が4月27日、公務に本格復帰した。欧州では新型コロナ対策として導入した外出禁止や店舗の一時休業などの制限措置を緩和する動きが出ているが、首相は早期解除に慎重な姿勢を示し、継続への理解を求めた。
英国では新型コロナ感染拡大が続いており、ジョンソン首相自身も3月26日に発症して入院。一時は集中治療室(ICU)に入ったが、回復して4月12日に退院。英首相の別荘で静養を続け、26日に官邸に戻った。
同国では3月23日に外出禁止などの制限措置が発動された。期限は5月7日。これによって経済活動が停滞し、大幅なマイナス成長に陥ることが確実な情勢だ。失業者も急増した。このため、経済界や与党・保守党の一部から、制限措置を継続せず、緩和するよう求める圧力が強まっている。
ジョンソン首相は官邸前で発表した声明で、英国では感染拡大がピークに達し、感染の第1波が終わりに近づいているとの見方を示した。しかし、感染の第2波が到来しかねないと指摘。制限措置が続くことへの経済界への懸念にも理解を示しながらも、「これまでに国民が払った努力と犠牲を無駄にすることはできない」と述べ、制限継続の必要性を強調した。
それでもジョンソン首相は30日の記者会見で、「感染のピークは過ぎた」と述べ、制限緩和に向けた戦略を近く公表する意向を表明した。