EUが対米報復関税の対象拡大へ、鉄鋼関税の対象拡大に対抗

欧州委員会は6日までに、米国が世界各国から輸入する鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税の対象を拡大したことへの対抗措置として、新たに報復関税を課す米国産品のリストを策定した。ロイター通信などによると、ライターや家具用プラスチック部品などが対象品目に含まれている。正式決定後に世界貿易機関(WTO)にリストを提出し、5月8日付で新たな報復関税を導入する見通しだ。

トランプ政権は2018年3月、輸入品の増加で国内の鉄鋼・アルミ産業が弱体化すれば米国の安全保障が脅かされると主張し、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の追加関税を発動した。EUはこれに対し、米国の輸入制限による損失を総額64億ユーロと見積もり、対抗措置の第一弾として、18年6月に28億ユーロ相当の米国産品に対する報復関税を発動した。対象品目には鉄鋼・アルミニウムのほか、ハーレー・ダビッドソンのオートバイ、リーバイ・ストラウスのジーンズ、バーボンウイスキーなどが含まれている。

米国はその後、関税を逃れるため加工品の対米輸出が増加しているとして、今年2月に輸入制限を強化。追加関税の適用対象を針金やくぎ、アルミ導体ケーブルなどの一部加工品に拡大した。欧州委は米側の追加措置によるEU側の損失を約4,000万ユーロと見積もり、新たな対抗措置を検討していた。

欧米メディアによると、欧州委の提案はライターに20%、家具用プラスチック部品に7%の関税を課すほか、すでに報復関税の対象となっているトランプの税率を現在の10%から3年後に14.4%まで引き上げるという内容。同委の報道官は報復関税の対象拡大について、米側の動きを受けた適切な対抗措置である点を強調したうえで、「鉄鋼・アルミニウムを含め、米国が違法な関税を撤廃することを期待する」と述べた。

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