欧州連合(EU)と1月末にEUを離脱した英国は15日、自由貿易協定(FTA)など将来の関係の構築に向けた交渉を4月から6月にかけて3回実施することで合意したと発表した。当初は毎月2回、3~4日程度の対面方式の会合を開くことになっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてテレビ会議に切り替え、毎月1回、1週間をかけて集中討議する。
交渉会合の変更は、EUのバルニエ首席交渉官と英国のフロスト首席交渉官が同日に行ったテレビ会議で合意したもの。4月20日、5月11日、6月1日の週に1週間のテレビ会議を行う。
英国は1月31日にEUを離脱したが、20年12月末までは移行期間となるため、貿易など基本的な関係は変わらない。同期間中に貿易や安全保障、外交、司法での協力など幅広い分野にまたがる将来の関係をめぐる交渉をまとめることになっている。
最初の交渉会合は3月2日から4日間にわたって開かれたが、その後は新型コロナの影響で中断状態にある。非公式なテレビ会議は開かれているものの、双方の首席交渉官が新型コロナウイルスに感染し、療養していたこともあり、進展はなく、これまでのところ交渉は双方の主張の違いを確認するにとどまっている。
EUと英国が合意した離脱条件に関する協定では、英国側が6月末までに要請すれば、移行期間を延長し、交渉の期限を延ばすことができる。EU側では新型コロナ問題が生じる前から、期限の20年末までの合意は難しいとして、英国に期限延長に応じるよう求める動きが出ていた。しかし、英国では離脱関連法案に期限延長の申請を禁止する条項が含まれている。
このため、英政府は実質的な交渉期限を6月末とし、それまでに交渉が進展しない場合は決裂を前提に、FTAなしでの貿易開始に備えることに集中する方針を打ち出している。ジョンソン首相の報道官は同日、移行期間を延長しないことを改めて確認した。
欧州委員会と英政府の共同声明によると、双方は6月までの「現実的かつ具体的な進展」を目指すことで合意。6月に「ハイレベルの協議」を行い、進展状況を確認することを取り決めた。