新型コロナ対策の制限緩和で行程表、検査体制の確立など条件に=欧州委

欧州委員会は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて加盟国が導入した制限措置の段階的な解除に向けた「出口戦略」の行程表を公表した。緩和のタイミングは国ごとに異なるとしたうえで、加盟国の間で協調を欠けばEU全体が混乱に陥り、感染拡大阻止に向けたこれまでの取り組みが無駄になる恐れがあると警告。疫学的根拠や十分な医療体制の確立といった条件に基づき、各国が適切に判断する必要があると指摘している。

EUでは感染拡大を受けて加盟国が独自に国境封鎖や医療物資の輸出制限などの措置を導入した結果、物流が停滞したり、医療機関でマスクや人工呼吸器などが不足するといった事態を招いた経緯がある。収束の兆しが見え始めた一部の加盟国は既に制限措置の緩和に着手しており、出口戦略の統一に向けて首脳会議が欧州委に行程表の策定を要請していた。

欧州委は行程表で、新規感染者や死者数の大幅な減少や、十分な医療体制と感染状況を正確に把握するための抗体検査を含む検査体制の確立を緩和の条件として挙げた。さらにデータ収集と情報共有の重要性を指摘。人の移動を追跡するモバイル通信の位置情報技術を利用し、感染者との接触リスクを知らせるアプリの活用を推進する方針を打ち出した。

欧州委のフォンデアライエン委員長は「個々の加盟国が置かれている状況は大きく異なるが、全てのEU市民がいつ、どのような順序で制限措置の緩和が可能か考え始めている。加盟国は感染状況や医療体制を踏まえ、段階的に制限を緩和することを勧める」と強調。域内で情報共有を徹底し、とりわけ近隣諸国と連携して慎重に緩和を進めるべきだとの考えを示した。

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