欧州委員会は3月25日、欧州連合(EU)企業への海外からの投資に対する監視を強化するよう加盟国に要請した。欧州で新型コロナウイルスの感染が急拡大し、経済不安が広がっていることに乗じて、医療など重要分野の企業が域外企業に買収されるのを警戒したもので、各国にガイドラインを示し、動きを厳しくチェックするよう求めている。
欧州委は声明で、EUがコロナ危機に直面する中、医療や保健、バイオテクノロジー、インフラ関連などの重要な企業、資産を守る必要があると指摘。「EUは外国直接投資(FDI)にオープンだが、無条件ではない」として、これらの分野での域外企業による買収を適切に管理していく必要性を強調した。
EU法では域外企業による買収について、加盟国が公益を害する恐れがあると判断した場合に差し止める権利が認められている。これに基づき、14カ国が独自のFDI審査システムを導入している。さらに、EUレベルの同審査システムが10月11日から本格的に運用される。
欧州委はガイドラインで、こうした手段をフル活用し、域外企業による買収を厳しく審査するよう加盟国に要請。ホーガン委員(通商担当)は「この状況下では外国からの投資へのオープンな姿勢を加減しなければならない」とした上で、「誰がどのような目的で投資するかを把握する必要がある」と述べ、各国に警戒強化を呼びかけた。
加盟国は26日の首脳会議で、欧州委の要請に応じることで合意した。