EUのバルニエ首席交渉官が新型コロナ感染、英との交渉に影響も

欧州連合(EU)と英国の自由貿易協定(FTA)など将来の関係をめぐる交渉でEU側の交渉責任者を務めるバルニエ首席交渉官は19日、自身が新型コロナウイルスに感染したことを明らかにした。当面は自宅待機を迫られるため、交渉に影響が出る恐れがある。

バルニエ氏はツイッターに投稿した動画で、新型コロナウイルスの検査で陽性だったことを公表した。健康状態は良好なものの、しばらく自宅に隔離される。

EUでは行政執行機関の欧州委員会で、19日時点で13人の新型コロナウイルス感染が確認されたが、高官の感染は初めて。欧州委のフォンデアライエン委員長は2週間前にバルニエ氏と接触していたことから、ウイルス検査を受ける予定という。

EUと英国の交渉は、同国が離脱した直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため設けられた「移行期間」が切れる2020年12月末が期限となっている。3月2~4日に初回会合が開かれた。次回の交渉は18~20日にロンドンで行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて中止された。

双方は新型コロナウイルス感染が終息するまで、対面方式での交渉を避け、テレビ会議などを通じて協議を続けるとみられる。ただ、新型コロナウイルス問題への対応に忙殺されていることもあり、交渉が停滞するのは避けられない見通し。英国のジョンソン首相は移行期間の延長を拒否しているが、延長要請を迫られるとの観測が急浮上している。

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