欧州連合(EU)は17日、テレビ電話による緊急の首脳会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、EU域外からの入域を30日間、原則として禁止することで合意した。域内における移動の自由を基本理念とするEUでは、新型コロナの感染拡大を受けて隣国との国境を封鎖したり、外国人の入国を禁止するなどの動きが広がっており、一部の加盟国による「一方的な国境管理」を非難する声が強まっていた。EU全体で足並みを揃え、域内における国境管理の早期解除を目指す。
ミシェル大統領は記者会見で「危機を克服するため、EUが一体となってあらゆる措置を講じる方針を確認した。可能な限り早急に域外からの入域禁止措置を実施する」と述べた。また、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「われわれの敵はウイルスであり、EU市民と経済を守るため全力を尽くす必要がある」と強調した。
30日間の入域制限は、16日に欧州委が提案していた。域外に在住するEU市民、EU加盟国の長期在住者、医療従事者、外交官などは対象から除外される。また、医薬物資や食品などの供給を確保するため、トラック運転手など輸送部門の従事者も対象外となる。
一方、域内における国境管理の手法に関しては、欧州委がまとめたガイドラインが承認された。それによると、新型コロナの感染者が域内を移動して感染が拡大するのを防ぐため、加盟国は一時的に国境に検問を設置して人の往来を制限することが認められるが、健康検査を実施する際は関係国の協議により、どちらか一方で検査を受ければ済むようにしなければならない。
また、加盟国は検問に伴う渋滞で物流に深刻な影響が出ている現状を改善する必要があるとの認識で一致。国境付近に「グリーンレーン」を設け、医療物資や食品などを運ぶトラックが優先的に通過できるようにするとの欧州委の提案を承認した。
加盟国はこのほか、26、27両日に予定していたブリュッセルでの首脳会議をテレビ会議に切り替えることで合意した。