水素燃料電池や直接メタノール形燃料電池(DMFC)のメーカーである独SFCエナジーは4月27日、カナダのカルガリーとトロントに水素燃料電池のコンピテンスセンターを開設したと発表した。現地における製品のデモンストレーションや試験能力を強化するとともに、アプリケーション重視の研究開発(R&D)事業を強化する。
トロントのコンピテンスセンターは、販売・サービスセンターとしての機能を持つ。これにより、カナダ東部における同社のプレゼンスを強化する。また、長期に渡る提携先である仏シュナイダー・エレクトリックと共同で、顧客に自動化技術や計測技術も提供していく。
SFCエナジーは、カナダは燃料電池産業が活発であることや、同国の市場潜在性(新しい顧客グループの開拓)、政府の支援措置などを踏まえ、中核拠点であるカルガリーに加え、オンタリオ州のトロントにもコンピテンスセンターを開設することを決めた。
■ 英ジョンソン・マッセイとの提携拡大
SFCは4月18日、英特殊化学大手のジョンソン・マッセイ(JM)との戦略的提携を拡大すると発表した。JMはこれまでSFCエナジーに、DMFC向けのコンポーネントを供給してきたが、今後は水素燃料電池のコンポーネントの開発・供給でも協力する。両社はこのほか、JMが保有するDMFC向け膜電極接合体(MEA)の生産設備や技術をSFCエナジーに供与することでも合意した。
JMが保有するMEA生産設備や技術は、英スウィンドン近郊にあるSFCの新しい開発・生産拠点に供与する。SFCはこれにより、DMFC関連の内製化率(バリューチェーン)を強化することができる。2023年第4四半期にDMFC用MEAの量産を開始する計画。両社はさらに、JM がDMFC用触媒を少なくとも5年間、SFCに供給する長期供給契約も締結した。
水素燃料電池に関しては、定置用燃料電池のコンポーネントを共同開発するJDA(共同研究開発契約書)について覚書(MoU)を締結した。SFCのPEM燃料電池スタック用にコンポーネントを共同開発し、JMは当該コンポーネントを少なくとも5年間、SFCに供給する。