コンテナ海運大手のMSCメディタレニアン・シッピング・カンパニー(スイス)とマースク(デンマーク)は1月25日、コンテナ船を共同運航する船腹共有協定(VSA)を更新せず、2025年1月に終了すると発表した。8年間にわたって提携してきたが、戦略の違いから単独運航に切り替える。
両社は2015年に「2M」アライアンスと称される提携を開始。コンテナ船をシェアしてアジアと欧州を結ぶ航路や大西洋と太平洋を横断する主要航路を共同運航してきた。当時のコンテナ海運業界は、リーマンショック後の不況で海運需要が低迷する中、船舶が過剰となっていたことが背景にある。こうした状況に対応して運航を効率化し、コストを削減するのが提携の狙いだった。
しかし、海運の運賃がこのところ高騰し、経営環境が激変。保有船舶数の拡大を目指すMSCに対して、マースクは現状を維持する方針で、戦略の違いが鮮明になっていた。マースクが21年、コンテナ輸送量ベースで世界首位の座をMSCに奪われたことで競争意識が増幅したこともあって、提携を更新せず、10年で打ち切ることで合意した。
マースクは提携解消により、柔軟な事業運営が可能になるとしている。