ドイツのスタートアップ企業がベンチャーキャピタルから2022年に調達した資金の総額は15億5,700万ユーロで、過去最高となった前年(26億1,200万ユーロ)を38%下回ったことが、政策金融機関ドイツ復興金融公庫(KfW)の発表で分かった。景気の悪化と金利の上昇が響いた格好。資金調達環境は現在も改善していないことから、今年も低迷が予想される。昨年の調達額自体はこれまでで2番目に高い。
長期トレンドでみると、脱炭素に寄与する気候テックは成長分野となっている。同分野の資金調達件数は2009年の16.9倍に拡大。スタートアップ全体の同5.7倍を大きく上回った。
19~22年にスタートアップが調達した資金に占める気候テックの割合は13.3%に上った。フランス(同13.6%)に次いで世界で2番目に高い。KfWのチーフエコノミストであるフリッツィ・ケーラーガイプ氏は、気候保護がドイツで重視されていることが一因だと述べた。
ドイツの気候テックが19~22年に調達した資金を技術の投入分野別でみると、最も多かったのは発電で全体の43%を占めた。これに食糧が19%、モビリティが16%で続く。製造業は7%と少ない。これについて同氏は、同国の二酸化炭素(CO2)排出量に占める製造業の割合が24%に上ることを指摘。製造業向け気候テックはベンチャーキャピタル市場で過小評価されていると述べた。