ルフトハンザが伊ITAに出資、将来の完全買収を視野に

欧州航空大手の独ルフトハンザ・グループは25日、経営破綻した伊アリタリア航空の後継会社として設立された国営ITAエアウェイズに資本参加することで、伊経済・財務省と合意した。将来的には出資比率を100%に引き上げる権利を確保しており、完全子会社化する可能性が高い。カルステン・シュポール社長は「本日の合意はイタリア、ITAエアウェイズそしてルフトハンザ・グループにとってウイン・ウインの状況に発展する」と述べ、今後のシナジー効果に強い期待感を示した。

ルフトハンザはITAの増資を引き受け、41%出資する。出資額は3億2,500万ユーロ。伊政府もITAに2億5,000万ユーロの追加出資を行う。取引の成立には認可当局の承認が必要。

ルフトハンザがITA株の残り59%をいつ取得するかは明らかにされていない。取得額はITAの今後の業績に応じて決まる。

ITAは2020年11月に設立された。路線数は現在64で、内訳は国内線が21、欧州線が33、インターコンチネンタル線が10となっている。乗客数は年1,000万人を超える。従業員数は4,000人。

イタリア線はビジネス客と観光客の利用がともに多く、ルフトハンザにとって独米に次ぐ重要な市場となっている。ITAを買収すれば、ハブ空港フランクフルト、ミュンヘンの支線路線をイタリアに広げるほか、イタリア経由でアフリカ、ラテンアメリカ路線を拡充できる。ITAもルフトハンザ・グループの運行・販売・マーケティング網に組み込まれることから、シナジー効果を期待できる。

ルフトハンザは乗客を空港に輸送するフィーダー路線(支線)として鉄道を活用する戦略を推し進めている。国内線は採算が悪化しているうえ、温暖化防止上も批判を受けているためで、すでにドイツ、オーストリア、スイスでそうした取り組みを行っている。イタリアでも同様の措置を取る方針で、2月には伊国鉄フェッロヴィーエ・デッロ・スタートと基本合意を締結した。ITAの成長に寄与するとしている。

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