2Gルールは事業所委の会議にも適用か

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためドイツでは現在、「2G」ルールが実施されている。2Gはコロナ規制の一環で昨年夏から導入されているルールで、Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」を指す。2Gルールの店舗や施設、イベントでは接種完了証明か感染からの快復証明のいずれかの提示が義務付けられる。そのどちらも持たない「非接種者(Ungeimpfte、感染からの快復者で接種を受けていない人はこのカテゴリーに含まれない)」は入店やイベント参加ができない。では、職場の集会にも2Gは適用されるのであろうか。この問題に絡んだ係争でボン労働裁判所が昨年11月15日に決定を下したので、取り上げてみる。

裁判は全国的に事業を展開する企業の事業所副委員長が、全体事業所委員会の措置を不当として起こしたもの。

ここでまず、事業所委員会の組織構造について簡単に説明しておく。事業所委員会(Betriebsrat)とは従業員の社内代表機関で、事業所内の様々な事柄を雇用主と共同で決定する権限を持つ。企業に複数の事業所がある場合、事業所委員会が事業所ごとに設置されるほか、個々の事業所委員会の代表からなる全体事業所委員会(Gesamtbetriebsrat)も設置される。さらに複数の企業からなるコンツェルンの場合はその上にコンツェルン事業所委員会(Konzernbetriebsrat)という機関を設けることもできる。

同社の全体事業所委員会は11月16、17日にベルリンで事業所委員会議を開くため、事業所委員に招待状を送付した。ベルリンでは当時2Gルールが適用されていたことから、参加には接種完了証明ないし快復証明の提示が必要であることが招待状に記されていた。非接種者の参加は認められていなかったことから、原告はPCR検査で陰性証明を取得した非接種者も参加できるようにすることを求めて提訴。ボン労裁はこの訴えを認める仮処分決定を下した。

決定理由で裁判官は、事業所委員が全体事業所委員会の会議に参加することは、各事業所の被用者から負託された権限(マンデート)の行使に当たると指摘。発行から24時間以内のPCR検査で陰性が証明された非接種者の参加を拒否できないと言い渡した。ベルリンで当時、施行されていた感染防止政令を根拠に事業所委員会の会議に2Gルールを適用することはできないとしている。

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