操短による収入減を被用者が拒否、解雇は妥当か

新型コロナウイルスの流行を受け、操業時間を短縮する企業が昨年春に急増した。需要が激減したり、店舗営業の停止命令が当局から出されたりし、他に選択肢がなかったためである。

操短の対象となった被用者は賃金の代わりに国から操短手当(Kurzarbeitergeld)を受給することになる。受給額は基本的に、操業短縮で目減りした賃金の60%(子供のいる被用者67%)にとどまるため、収入は減少することになる。では、被用者は収入減を受け入れられないとして、賃金と操短手当の差額支給を雇用主に請求できるのだろうか。この問題を巡る係争でニュルンベルク州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:4 Sa 413/20)を下したので、取り上げてみる。

裁判はバイエルン州にある美容・理容店の被用者が雇用主を相手取って起こしたもの。州保健省はコロナ感染者の急増を受け昨年3月21日から、美容・理容店を含む幅広い分野のサービス・小売事業者に業務停止命令を出した。この結果、被告は営業することできなくなり、全被用者に電子メールで操短同意書を送信。署名して返信することを要請した。

これに対し原告は、収入が40%減少することは受け入れられないと主張。操短手当と賃金の差額を支払うよう要求したことから、被告は同月末付けで解雇した。

一審のバンベルク労働裁判所は原告の訴えを棄却し、二審のニュルンベルク州労裁でも判決は覆らなかった。判決理由で同州労裁の裁判官は、雇用主が操短手当を申請するのは、雇用を維持するためだと指摘。被用者はその受け入れを拒否できるものの、受け入れ拒否を理由とする解雇は民法典(BGB)612a条で禁じられた、正当に権利を行使した被用者への差別に当たらないとの判断を示した。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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